ロビーにあったお花

胡蝶蘭いっぱ〜い

笑福亭鶴瓶さんより、勘九郎さんと七之助さんへのお花

そして中村亀鶴さん、河村隆一さんと交流あるんだ〜

と撮ったお花です。
赤坂大歌舞伎

お席に座ると中村屋カラーの定式幕がかかっている舞台を見ると、中村屋さんの舞台を観に来た感が強まります


私は観劇前にあらすじだけ読んで
「一人の女を想って何回も転生を繰り返す男の話なんてロマンティック


すてき〜〜

二人の恋の行方は一体どうなるのかしら〜


」
そう思って見に行っていたんですよ(笑)
(能天気な者の頭で考えることなんてそんなものなんです


)
そしたらですね…
ご覧になった方々はお分かりだと思いますが、全然!全く!違ってました(笑)
だって…前提が、どこをどうやっても運命的に絶対に結ばれない二人の恋だったんだもの

最初はね、ロールプレイングゲームみたいだなと思って太郎の「人生のリセット」「やり直し」を客席で楽しんでいたんですけど

始まりまして…最初、勘九郎さんのお役は一切良いところがないしかっこいいところもないし…

ちょっと腹が立つくらいでした(笑)
え〜っと、物語のヒーローだよね?このまま終わったりしないよね?って思うくらいでした。
歌もどんどんみじめな姿になっていって…


そして次の人生は、やり直したら骨太になったじゃ〜ん

良くなるのかなって期待しながら観ていたんですけど
…
それでもなんか違う

転生を繰り返しても繰り返しても、どの人生も良くなるどころか苦しいものばかり、いやなものばかりでした〜

太郎は人生をやり直すにあたって、想い人の歌を幸せにするには何が必要かと魂の底で考えていて、そこを全力で修正した性格となって生まれ変わっていたと思います。
でも太郎はけっこうひどい男性で、言い争いになった時に
って台詞を言っちゃうんですよ〜〜
見ていて「ああそれダメ〜!…うわ〜

」っていう場が凍るような台詞は、観客ながら古文の「かたはらいたし」(見ていられないほど気まずいさま)な気分でしたよ

最初の人生の時も次の人生の時も、それはそれは見事な地雷でした。
そしたら案の定その台詞を聞いた歌が出て行ってしまったり…


そうだよね、そりゃそうだよねって

二番目の人生で「金、金、金。仕事、仕事、仕事」の太郎と夫婦になった歌との会話は、現代の「旦那が仕事ばかりで私を構ってくれないの」という夫婦間でもされていそうな会話でした〜
「お前のために働いてるんだ!この暮らしのどこが不満なんだ!」
「あなたは自分を大きくしたいから働いてるのよ、私のためなんかじゃない!」
「誰のおかげでこんな暮らしができてるんだ、エェ!?黙って言うこと聞いてろよ!」(そんな感じのやりとり…

)
私はなぜか仕事一本のテレビ業界の敏腕プロデューサーをイメージしながら聞いていました。
普通に現代社会で交わされそうな会話です

二人を取り巻く
幼なじみたちがまたいやな顔を見せるんですよ

猿弥さんが務めたお役(剛太)だけは普通で真面目でいい人でした。
あとの
幼なじみ(ほとんど出ずっぱり)は中村いてうさん(名前は末吉?でしたっけ)と、中村鶴松くん(しずちゃん)。
ジャイアンとスネ夫としずかちゃんの世界に、太郎と美人の歌がいる感じです(笑)
なんかもう…人間の弱さといやらしさが満載の未来もありました

人間関係って相互で成り立っているものだということがまざまざと描き出されていました

特にしずちゃん、いやだった(笑)
某「ドラえもん」のしずかちゃんのイメージで見てたので、まるで「裏ドラえもん」みたいな…


二番目の太郎は金に明かせて愛人としてしずちゃんを囲って…誠実じゃなくていやな人でした

しずちゃん、本妻の歌に嫌がらせばっかり言っていてなかなかにイヤな性格でした〜〜


鶴松くんのこんなに「アバズレ」みたいなお役も珍しいのかな?
しかし鶴松くんの女形のしっとりした話し方は、七之助さんに声音が似ている時があるなぁと思いました。やっぱり中村屋の女形さんですね

いてうさんのファンにはとってもとっても嬉しい舞台ですよね

こんなにずーっと出ずっぱりで活躍されているんだもの!いてうさんファンは迷わず一等席で通ってらっしゃると思います

勘九さんファンにも嬉しい?のかな…??

勘九郎さんがシチュエーションチェンジのために衣装を変える時はなぜかいつも舞台の上でお着替えをされます!
衣装チェンジと演じ分けだけで「時間が経ったんだな」ということが分かるのです

演出上そうなのでしょうけれど、ファンサービスの意味もあるの

?プラス、そういう肌を大きく見せるところは非常に歌舞伎っぽい要素でもあるのですよね。
※私は歌舞伎を見始めてから、舞台の上で男性陣がかくも肌を見せるものかと驚いた人間です

(衣装が褌一枚に上に羽織っただけとかですので…日本の昔の風俗に忠実なのですが、最初はその肌見せにかなり驚きました

)
二番目の人生の時、太郎と歌は夫婦でしたけれど、なんと寝室は別だったんですって

良くないですね〜…
なんでそうしていたのかは謎でした

太郎も、ちゃんと歌が好きなら一緒に仲良く寝ていればよかったのに、妻はほったらかしにして愛人と逢瀬だけを重ねて家では「レス」

でも二番目の人生の時、途中までは太郎はかっこよかったですよね〜

音楽は黒御簾音楽ではなく、重い場面が多いのでダークなピアノに合わせて附けの音

附け打ちは平成中村座でもお馴染みの山﨑徹さんです。
ダークなピアノと附けの音、苦しむ勘九郎さんのお役=赤目の太郎。美しいなと思いました

二番目の人生の終わりの絶望感のところでいいなぁと思いました

私ね、赤目の太郎がどんなにがんばっても決してうまくいかない理由がわかりました。
それは核心なので少しずつ明かされていくんですが、想い人の歌にはずっと好きな人がいたんですって。私はてっきりそれは太郎のことかな?と思って見ていました。
するとどんでん返し


思いもしなかった歌の好きな人…切ない恋(タブーの恋ですけど)
その人のことを想っているから、お互いにきちんと向き合っていなかったんだなと思いました。歌は難しいお役だと思いましたが、他に好きな人がいて叶わない恋を抱えているのだと思えば少し納得がいきました。
ですから赤目の太郎と歌は、お互いに自分のことしか見てなかったんですね。
最後に自分に対するメッセージ(自分のことだけ考えずに歌のことを考えろ)を歌のお父さんに託しましたよね。あのメッセージがもし伝えられていれば二人はうまくいっていたのかもしれません。でもどの人生の時も伝えられなかった…
それは、そういう運命だったのかと思いました。
運命を変えようとするお話で、ゼッタイに変わらないものだと、一番大事なことは大体伝えられないままですよね…

市川亀蔵さんは病みやつれて死にそうになっている歌のお父さんの役でした。
二番目の人生の時はお金の力で高いお薬をもらってすっかり元気になっていたお父さん…笑いました

中村亀鶴さんがお勤めの、嫌われ者の歌の兄の源之助も、二番目の人生ではすっかり好青年に変わっていて笑いました

全部ラストまで見てから「ああ、あれはこういうことだったの!?」っていう箇所が沢山ありました。
最後の方で、誰からも嫌われないことを望んで、みんなの人気者として常に周りの人のことばっかり考えて誰にでも優しい性格になった赤目の太郎は、なんと恋まで剛太に譲っちゃうの…
歌のことが好きなのに、太郎が描いた絵は遊び友達みんなの絵だった。(もうその時点で恋の芽が摘まれているなと思いました)
自分も歌のことが好きだけれど、それを隠して友達の剛太を後押しして…
三番目の人生は、なんと「剛太エンド」でした

剛太と歌が結婚してしまうの

あれ、猿弥さん主役

二人の結婚披露のお祝いで、参列者の一人として乾杯をする勘九郎さん。。それでいいのか


それで太郎は一人で酒に溺れて…
末吉が博打のお金欲しさに人のいい太郎にお金を無心して

人に冷たくしない人生を選んでいるから博打だなと分かっていても断らないんですよ

歌が他の人の者になって自暴自棄になっていたせいもあると思いますけど… 可哀想な人生でした

それにしてもこれだけ色んな顔をこまごまと演じてらっしゃる中村いてうさん。時には卑屈に、時にはゴマをすり、時には泣いて、時には卑怯に、時には野次馬に

いてうさんファンの方、良かったですね〜

大活躍ですもの

太郎はやっぱり歌への想いが断ち切れず、人妻の歌にムリヤリ想いのたけをぶつけようとしたところへ旦那の剛太が帰ってきて、親友からも縁を切られてしまうほど嫌われてしまいました…
さんざんな人生ばっかりで、もう転生はおしまいにする!と毎回自分を殺しに来る源之助を殺した太郎でしたが…
えっ

最後は切なかったですね…
太郎の哀しい記憶を全部持ったまま、歌とはゼッタイにうまくいかないと分かっているまま、なんと源之助に転生をした太郎…
歌とは兄妹ですが両想いで、恋が叶う前夜への転生でした

歌とはうまくいかないことが分かっているので、しかも兄妹だからと断って…自分が歌に嫌われればいいんだ。と…
それで誰からも嫌われる源之助になろうと決意したのでした。
切ないな…

しかも最後はゾッとする無限ループになってました…ずっとずっとずっと続く転生。しかも何回やり直しても好きな人と結ばれない無限ループ、無限地獄なのです

無明荒野です…
歌を想う源之助が太郎の人生もやってみたけれど、それでも歌とはゼッタイにうまくいかないことを知って自分は嫌われ者で独りでいようということか…??
切ないな…
観ていると心が苦しくなる作品です。
切ない。ラスト近くになると切ないばかり。
赤坂大歌舞伎、かなり挑んで創った作品ですね〜
最後にカーテンコールで皆様並んでくださいました。
「わぁ、すごかったね!」「かっこよかったね!」「きれいだったね!」そういう作品ではないもので、重い作品を先ほどまで演じてらっしゃった役者さんがたも、3回もカーテンコールに応えてくださるのはきついんじゃないかなぁ、なんて思ってました(^_^;)
素晴らしかったですよ。でも重いSFホラーみたいな、そんな作品です。
普通に演劇作品としてとっても面白くよくできてました

これを中村屋兄弟がやろうと思ったこと、かなり挑んでます

しっかし全然『ロマンティック転生ストーリー』ではなかったので、能天気な私はかなり面食らいました

(笑)