今回の興行は二回目、今日のゲストは春風亭一之輔です。
早いもので、折り返し点になりました。
◆開口一番 柳家寿伴【道具屋】
◆柳家喬之助【宮戸川(前半)】
ここに来る前、謝楽祭の会議をやってたそう。最近のコマーシャルは続きはwebでが多くと感じてる・・・・といつもの話の後、最近の楽屋事情について。
喬之助師匠の前座の頃に比べ、女性の数は多くなったが、先日、立て前座・高座返し・太鼓番の全員が女性だったときは楽屋がパラダイス、出されるお茶は三割増しの美味しさだったそう(笑)
そんな話の後は、近所の幼なじみ同士の半七とお花の二人が、帰宅が遅くなって家から締め出される事から始まる「宮戸川」。口ではいろいろ言いながら半七は「あのおてんばがあんなにかわいくなるなんて」と思っており、お花も半七と話をしたくて外で待っていたという。雷が落ちた後の展開は「続きはwebで」
◆お題取り
今回も喬太郎師匠と喬之助師匠の登場。
まずお題について、喬之助師匠より説明がありました。喬太郎師匠はすでにウルトラでいくつも噺を作っているから、似たような噺にしたくない、ホテトル歌っているとの事で喬太郎師匠からも「ウルトラが大好きでウルトラが無いと生きていかれない、だから噺は作ってるから避けてほしい」との事でしたが「ホテトルも好きですよね」「嫌いだよ」という会話、兄弟弟子らしい遠慮の無さがわかります
後はいままでのお題を提示した上で、今回お題募集。
①手品 ②祭囃し ③勇者 ④幽霊 ⑤夏フェス ⑥渡し船 ⑦台風 ⑧TKG(卵かけご飯) ⑨スペースシャトル ⑩バレリーナ
⑤の夏フェスについては「必ず一人はいるんだよな」と。できれば限定されるものは避けたいらしいです。TKGについては、喬之助師匠が「家でTKG専用のタレを使ってる」との事でしたが、喬太郎師匠は「それ知らなきゃ「TGK48」って言いそう」というのが笑えます。
今回はこの中から
①手品 ②祭囃し ③勇者 が決まりました。
◆古今亭菊之丞【替わり目】
ちょうど太鼓が見える位置にいたのですが、出囃しの太鼓は文蔵師匠でした。
最初は、落語家の酒のみについて。落語家はみんなお酒が呑めると思われてるが、小三治師匠や会長の柳亭市馬も下戸・・・「素面であんなに歌えるのはすごい」というのは、笑えます
奥さんが心つけを車屋さんに渡すと、酔っ払いの亭主は「金が足りないのはお前が車屋に貢ぐからだ」と悪態ついたり酒をねだったり。きっと姉さん女房にちがいないと思います。そういえば、入船亭扇遊師匠が映画「ねぼけ」の中で口演した「替わり目」は、菊之丞師匠から教わったらしいです。
◆橘家文蔵【手紙無筆】
黒の着物にオレンジの下地。ちょっと派手なのがステキです。
昔の職人さんはなまじ字が読めると仲間から白い目で見られる、との事で無筆、字が読めない人がたくさんいた・・・・という事から始まる「手紙無筆」適当な事を言ってなんとかやりすごそうとするものの最後は追い詰められて「正解はwebで」と逃げてました。
◆春風亭一之輔【ちはやふる】
開口一番は「日曜日の夜、こんなにも多くの方がおいでとは。やはり台本がある笑点は信用してないという事ですね」・・・・最初から爆弾発言です。
冒頭は連続テレビ小説の「ひよっこ」を録画したくて「べっぴんさん」を消そうとしているご隠居の話。消してもらったところで相談を持ち掛けられます。そこで歌の解釈を教えてほしいというお馴染みの噺ですが、一之輔師匠だと独特の解釈になります。
竜田川はご贔屓筋の方から「吉原行かね?」誘われ、「行く行く」といって連れ立ってやって来たという。そのあとは、おいらんのちはやを見初めたものの口臭が原因で振られ、妹分の太夫にも振られ実家に帰って豆腐屋を継ぐ。ところが無理がたたって倒れ、宮城野部屋から贈られた青汁を飲んで健康を回復・・・・八五郎でなくても疑いの眼差しですが、ご隠居は「これは『月刊大相撲』の初代杉山さんの『どすこいインタビュー』にちゃんと書いてある」というものの、やはり行き詰まって、最後の部分は「webで」となりました。
◆入船亭扇遊【夢の酒】
粋な噺家という言葉がピッタリの師匠。夫の見た夢に嫉妬して泣いている嫁に言って聞かせている大旦那を見ると、本当に嫁がかわいくてしょうがないんだろうなあと思います。この方の落語には、流石に「web」は出てきません(笑)
◆柳家喬太郎【マジックショウ】
最初の出囃しの太鼓の位置には文蔵師匠。「まかしょたたくのかな」と思ったら、どこかで聴いたけど違う音色が・・・・開口一番の台詞でわかりました。座布団に座ってお辞儀するなり「あ、今日はね、私はちゃんとやりますよ」。アサダ二世先生の出囃しです(笑)
今日のお題は①手品 ②祭囃し ③勇者 が決まっており、今日のゲストは春風亭一之輔師匠で、噺は「ちはやふる」でした。
舞台は公園のベンチ。座っているのは手品師の積極斎とんかつ、昔はいろいろなホールでショウをやったものの、今は引退状態。
ベンチに座っているところへ「とんかつ先生ですよね」と声をかける人が。出版社勤務の35歳、ハシモトという男性で、とんかつの本を出したいと言う。「売れるのか」という問いに対して「売れないでしょうね」といいながら、今手がけている百人一首の本を脇にやってでもやりたい様子。先生の伝記ものをやりたいという話をとんかつ先生は即座に蹴ったものの、その後ハシモトは先生に付きまとう。とんかつ先生がATMで苦労していれば助けに現れ、パチンコ店で「あと少しでフィーバーなのに」というところではパチンコ玉を差しだし、銭湯で背中が洗えないと言っていれば背中を流してくれる。とんかつ先生のご飯がすき家のミニ牛丼だった事も当て、「ストッパーだな」「ストーカーですよ」というところから、呑みに行くことに。
飲み屋で最初の一杯を飲んでるときに、出したいという本の話を聞くと、まだプレゼンテーションにもかけていないという。一対一の営業なら押しでいけるのだが、大人数の前は・・・・出来ればそこを学びたいという。そうこうしてるうちに料理の注文を取りに来る。
先生の注文は焼鳥の盛り合わせに冷や奴、あげだし豆腐・・・・「豆腐が好きなんですね」で、「ちはやふる」が入ります。また、焼きうどんを頼めば「何をやるんですか」「うどんで紐のマジックは出来ない」
とんかつ先生は、松旭斎天勝憧れていたものの、原則女性しか取らなかったために別の名になったとのエピソードをぽつりぽつりと語り出す。
その頃の、あるつまらない芸人の話を始めます。舞台ではつまらない芸で、受けないと「チッ」と舌打ちをするのだが反省は早かった。 馬鹿(fool)な人で 「私は神である」「余は殿である」言うことを聞けというのだが、客が聞かずという感じ。その人はここにあるような竜田揚げの皮が好きだった。
ある日、テレビに出るのでマジックを教えてくれという。
カラーの走りの時代、箱に入った人を剣で刺して・・・というマジックを教えたものの、失敗して中の人は本当に刺さってしまい、スタジオは紅で染まった。ディレクターはミスを知りスタジオを抜けくぐるといなくなってしまった。そのディレクターの本名は「とわ」・・・・・・・それは百人一首の「ちはやふる」の意味。「本当ですか?」と聞くと「本当かどうかはwebで」
そのあと先生は帰ってしまい、翌日領収書を会社に提出したが、プレゼンテーションもかけていない仕事の経費は認められないし、単独行動を上司に叱られる。ハシモトは「一人でやりたい」という気持ちが強く、なかなか仲間に協力を頼めない。領収書をなんとか頼み込み、とんかつ先生のアパート尋ねる。
部屋に入るととんかつ先生は手品の練習をしている。紐、トランプ、そしてサムタイ(両手の親指をきつく縛ってもらい、柱や輪等をくぐり抜けるというもの)の練習をしてるのを見て「もう一度やるんですか」と聞くと、指が動かない、サムタイならダーク広中が良いという。
ハシモトさんはとんかつ先生が前の日に飲み屋に忘れて行った小銭入れを届けに来たのだがマジックの練習を見て、自分の思い出も話し出す。
かつてハシモトの住む町にとんかつ先生が祭の余興でやってきた。マジックはサムタイ。サムタイは手品師の指を縛る役目が要るため舞台の上から指名するのだが、自分が当てられた。しかし舞台に上がる勇気がなく、友人が代わりに上がった。それが今も尾を引いていて、勇気が出ないという。
先生はハシモトの故郷の町の名を聞き、「祭り囃しがちょっと変わってた」事や、もじもじしてた小学生も思い出す。(ここでお題「祭り囃し」)
その町の祭は射的があり、小学生がお小遣を注ぎ込んで、更に借金してやってるような町だったが、さすがに今はというと「全く変わってませんね」という。
その話をした後、とんかつ先生はインタビューを受ける気になり、本になるくらいの記事が取れたが、最後にやはりマジックをしてるところを入れたいという。ハシモトの郷里の祭が近づいており、幼なじみが町の偉い人になってるから舞台を用意してもらうからと。その気は無いものの、行った町でとんかつ先生は祭の雰囲気が懐かしくなり、実は持ってきていた道具で舞台に上がる。最初はハシモト一人だった客がだんだん増えてきて、ショウが始まる。途中で先生はサムタイの助手にハシモトを指名。最初は上がれなかったハシモトが先生に促され、やっと舞台に上がり、ぎこちないものの紐を結び終えて感無量のハシモトの前で、先生はサムタイをいつまでも披露していた。
結局これが先生の最後の舞台になった。先生が亡くなったあと、ハシモトは社内でのプレゼンテーション挑戦。自分がプロデュースした先生の本を出版するための大事な通過点、ぎこちない様子で始めようとしたものの、やはり緊張は止まらない。頭がパニックになりそうなところで、最前列の人に「ちょっとそこのあなた、手伝ってもらえませんか」
と、アサダ二世先生のいつもの台詞で落語は終了しました。
三題のうち、「手品」と「祭囃し」はわかったものの、「勇者」は、わかりにくかったです。ただ、自分を変えるきっかけを探して結局自分の願いを叶えていく。一匹狼のタイプが他人に助けを借りるのは本当に勇気が要ります。
年老いた手品師と若者、遡ってみたら大人と子供の出会いと交流は、「ニューシネマパラダイス」を観ていた時のような気持ちになりました。
やはり人情話になりました。
この日の高座の合言葉は、きっと「web」じゃないかと思います(笑)
















